第35号 補助金を「成長の燃料」に変え、補助金がなくとも持続できる会社をつくれ!

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
2026年、サッシ流通業界は大きな転換点に立っている。省エネ・断熱を軸とした補助金施策は依然として追い風だ。一方で経営者からは、次のような声を多く聞く。
「補助金がある時は売れるが、終わったら不安だ」
「補助金対象の施工で業務が疲弊している」
「本当の意味で会社の力がついているのか分からない」
結論から言う。補助金は“目的”ではなく、“手段”。補助金を活用しながら、補助金がなくても選ばれ、利益を出し、社員が育つ会社をつくれるかどうか。2026年は、その分かれ目となる一年だ。
本号では、補助金を活用しつつ、12ヵ月で「持続可能な会社運営・業績づくり・組織づくり」を完成させる経営の方向性をお伝えする。

■補助金経営の落とし穴
補助金は「売りやすい商品」を作り出す。しかし同時に、次の副作用を引き起こす。
・営業が“提案”ではなく“説明係”となる
・補助金を前提とした安易な値引きに頼る商談をする
・駆け込み需要の対応で通常対応が後回しとなる
この状態が続けば、補助金が終了した瞬間に売上低下と粗利低下が同時に起きる。だからこそ経営者は、補助金を会社の基礎体力を鍛える道具として活用しなければならない。

■2026年に経営者が担うべきリーダーの役割

2026年のサッシ流通店経営者に求められる役割は明確だ。「売る社長」でなく「売れる仕組みを12ヵ月で完成させる社長」を目指せ。
「売る社長」とは、自ら現場に出て数字をつくることで安心している経営者。会社の成長を止めている自覚が必要だ。社長が売らなければ回らない会社は、社員が育たず、組織は弱体化する。忙しさは成果ではない。属人経営は限界を迎えている。
「売れる仕組みを12ヵ月で完成させる社長」とは、売上を社員に任せ切れる状態を期限付きで設計し、仕組みとして定着させる経営者。役割分担、標準化、育成をやり切る覚悟が問われる。仕組みが完成すれば、社長が売らなくとも業績は安定成長する。

■12ヵ月で行う「持続可能経営」ロードマップ
【1〜3月】基盤づくり:補助金を“型”にする
・補助金提案を標準化(提案書・見積・説明トーク)
補助金提案を個人の経験や勘に任せず、提案書・見積・説明トークを統一、誰でも一定水準の商談ができる体制を整える。営業品質のばらつきを防ぎ、商談効率と受注率を同時に高める。
・営業・事務・業務の役割分担を明確化、業務フロー整備
補助金対応における営業・事務・業務の役割を明確に分け、二度手間や属人対応を排除する。各職種が本来の強みを発揮できる業務フローを整備し、現場負担を軽減する。例として、見積・発注の多能工化、指示書の見直し、工程管理のデジタル化、など。
・「誰がやっても同じ施工品質」を構築
特定の人でなければできない状態を改め、現調シート、施工手順、完了チェックシートで見える化する。人の組み合わせや人員変更があっても品質が落ちない、安定した施工体制を構築する。

【4〜6月】営業力強化:補助金+αの価値提案を行う
・断熱・省エネの「効果提案」を徹底
商品の説明でなく、暮らしの快適性向上、光熱費削減、隠れヒートショックの予防など“効果”を伝える提案に転換する。補助金がなくとも「欲しい」と思われる営業力を養う。
・補助金なくとも成立する価格設計
補助金を前提にした値引き商談から、適正利益を確保できる値付けを行う。粗利を守ることで、社員教育や業務改善に再投資できる経営体質をつくる。
・重点顧客・重点商品の明確化
すべての顧客・商品を追いかけるのではなく、利益と将来性の高い重点顧客・重点商品を明確にする。営業資源を集中させ、効率的に成果を上げる体制を整える。

【7~9月】組織づくり:チームで成果を創出する
・営業同行・ロールプレイの定着
営業同行やロールプレイを継続的に行い、提案力を個人でなく組織の力として高める。成功事例の共有、営業力の底上げと再現性を確保する。
・若手とベテランの役割分担
若手は行動量、ベテランは提案力と判断力を発揮するなど、世代ごとの強みを活かした役割分担を行う。互いに補完し合い、チーム全体の成果を量と質の両面から最大化する。
・幹部が“指示役”から“育成役”へ転換
幹部が自ら動いて成果を出すのではなく、部下を育て成果を出させる役割へ意識を転換する。人が育つ仕組みをつくることで、組織の持続的成長を実現する。

【10〜12月】仕上げ:補助金がなくても回る会社へ
・補助金依存度の見える化
売上や利益に占める補助金関連比率を数値で把握し、依存度を明確にする。現状を正しく認識することで、次年度に向けた具体的な改善策を打ち出せる。
・通常商材の売上・粗利比率向上
補助金対象外の通常商材においても、提案力強化と価格適正化により売上・粗利を向上させる。粗利は施工付きで30%以上は確保したい。補助金がなくても安定収益を生み出す体制を完成させる。諸経費計上も忘れてはならない。
・次年度に向けた重点戦略の決定
一年間の取り組みを振り返り、成果が出た施策と改善点を整理する。補助金動向に左右されない、中長期視点のマーケティング戦略、革新戦略、採用戦略を定め次年度へつなげる。

■2026年を制する会社の共通点
補助金に振り回される会社と、補助金を味方につける会社の差は、経営者の覚悟と設計力による。売上でなく「利益と再現性」を見る。目先ではなく「1年後の会社像」を描く。社員を使うから「育てて任せる」これをやり切り2027年以降も持続できる会社をつくれ!

 


代表取締役 日小田正人