第18号 営業のイノベーションを行い不確実を確実にせよ!

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■英国のEU離脱ショック、不確実な時代が続く 

国民投票で英国がEUからの離脱を決めた。リーマン・ショックやユーロ危機とは質の違う、じわりと重い危機だ。英国抜きの欧州連合(EU)は前進できるのか?離脱する英国はEUとどのような関係を望んでいるのか?双方が山積の課題を解決していく動きがスタートする。ただ、離脱交渉は早くて2年、政治の混乱も懸念される英国を含む欧州のビジネス環境の姿はなかなか定まらない。日本経済も影響を受けるあまりにも長い不確実な時代だ。
すべての危機はチャンスと考え、改善の好機とみれば成長は可能だ。業績を担う責任者であるリーダーは、チャレンジをし続けなければならない。危機があるからリーダーが必要なのだ。

■営業のイノベーションを行い「不確実」を「確実」にせよ

市場の影響で業績を落とす企業は実に多い。英国のEU離脱ショックの影響を受けない営業力をつくらねばならない。そのために、営業のイノベーションを行う必要がある。具体的には、営業マンのマインドと営業のしくみの双方のイノベーションを同時に行うことである。そのポイントは次の6点。

1.営業マンのマインド

①経営理念の実践状況
経営理念の浸透失くして企業の存続はあり得ない。経営理念が明文化されているか?営業マンが経営理念を知っているか?意味を理解しているか?行動に結びつけているか?を確認する。『お客様に「安心」と「安全」をお届けする・・・』と言う理念を掲げているにも関わらず、「お客様が安い商品を希望しているから」という理由で安心に結びつかない商品を販売している営業マンがいてはいけない。

②人材のレベル
それぞれどの「ジンザイ」なのかで今後の企業(業績)の成長性が分かる。「人財」ゾーンに3割存在していれば勝ち組になれる。
『人財』・・・優秀:意欲・やる気は高く、能力・技術も高い。このまますすめば幹部人財。
『人在』・・・職人気質:意欲・やる気は低く、能力・技術は高い。このまま2年間続くと変化に対応できず人罪になる。ベテランに多い。
『人罪』・・・意識改革必要:意欲・やる気は低く、能力・技術も低い。原因他人論的発言が多く、考えも甘い
『人材』・・・努力次第:意欲・やる気は高く、能力・技術はまだまだ低い。新人はここからスタートしていく。

2.活動量と目標達成比較
 営業の基本は活動量のアップ。「量から質は生まれる」の言葉通り、お客様との接触時間(活動量)を増大できるかどうかが目標達成のカギ。どのタイプの営業マンが多いだろうか?

① エリート:大変優秀な営業マン
活動量多い、目標達成率100%以上。最も求められており、人間関係力、行動力、提案力と全ての面で優れている。

②ラッキー:たまたま達成している営業マン
活動量少ない、目標達成率100%以上。得意先に支えられての目標達成。受け身の営業スタイルで御用聞きとなっている。粗利が低い。

③ピンぼけ:活動しているが目標未達営業マン
活動量多い、目標未達成。ヤル気はあるがピントがぼけている。訪問先、提案商品、キーマン面談等、的確な営業になっていない。

④努力不足:意欲が低い営業マン
活動量少ない、目標未達成。売り方、やり方を指導する前に「生き方」「考え方」を指導する必要がある。この営業マンの取引先はメール、電話、FAXでも対応可能。

3.商品のスキマ分析

主要取引先における商品のスキマを分析することで取引先別に攻めるポイントが明確になる。営業マンの意識にありがちな「どうせ売れないだろう」という固定観念を打ち破れば、まだ売り上げは伸ばせる。
主要得意先20社、商品(群)を書き出し表を作る。継続的な定番商品は〇印、単発に出るスポット商品は△印を記入していく。何も書かれていない空白がスキマ。スキマに対しアプローチすると確実に、アプローチしたお客様の10%~20%のお客様が購入してくれる。

4.見込管理を切り口に行動管理、情報管理、受注管理を行う

主要得意先20社ごとに、提案商品、受注期限を設定し、訪問するたびに行動を記録し行動管理、受注見込度の変化を記入して見込管理を行う。さらに、人間関係、ニーズ確認、キーマン確認・~見積り提出、上司同行など受注までのプロセスの進行度を記録し情報管理を行う。このしくみを活用すると受注までのプロセスが明確になる。受注期間の短縮化、成約率の向上が同時に可能となり営業の質が向上する。

5.訪問基準の見直し

成長率が高い他社ユーザーは人間関係が浅く訪問しても良い反応がない。反応が少ないから行きたくなくなる。成長率が低い自社ユーザーは人間関係が深く反応がある。反応があるからつい訪問してしまう。得意先の訪問基準を設定すると、成長率が高い他社ユーザーへ訪問する優先度が高くなり、訪問せざるを得なくなる。
月の取引高、成長率に対する達成度、粗利益率、支払状況、取引年数など重要項目を設定し、点数制にし、合計点数を明確にして期間と訪問頻度を設定する。最重要ターゲットは週2回以上、ターゲットは週1回~3回、引き気味ターゲットは集金時のみ、など重点度と訪問頻度を設定する。チームの基準とし全体で訪問先管理を行うことで偏り訪問が防げる。

6.3カ月先行管理を行う

取引先別にベース売上、スポット売上の3カ月先までを見通し、目標との差額を明確にする。その差額を埋めるための商品、競合、活動を対策として計画を策定するのが先行管理。3カ月先行管理のポイントは次の3つ。
①見通しを的確に行う②見通しの定義づけをする(例:ベース売上は毎月確実に読める数字、スポット売上はその月だけの単発性が高い、など)③目標―見通し=「差額」、として打つ手を練る。

■爪に火をともすような情報を確実に成果に結びつけよ!

普通の営業マンは「景気が悪く、売れ行きが悪いため発注してくれません」と報告する。優秀な営業マンは「競合と取引しています。でも、発注の数量と納期に対応してくれたら発注先を変えると言っています」と報告する。爪に火をともすような情報を確実に成果に結びつけることが営業マンの責務であることは言うまでもない!

ワンポイントクエスチョン【営業力の総点検を行っていますか

代表取締役 日小田正人

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【18号】2016年7月1日