第21号 モチベーションが上がる指導を行え!

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■モチベーション低下の原因は自分の心の甘さ

 入社時のモチベーションが持続できているビジネスマンは生産性が高く非常に優秀である。しかし、働く人の90%が入社時と今を比較すると大なり小なりやる気を失っているのが現実だ。プロ野球の世界で「モチベーションが上がらないので結果を出せませんでした」では即退団であろう。プロはモチベーションが高くて当たり前の世界。厳しい言い方ではあるが、モチベーションの低下は自分の心が折れ、自分自身に負けているだけなのである。
 モチベーションが上がらないという言葉を使い、出来なかった原因を他人の責任にしていないかどうかを自問自答すべきだ。会社が悪い、上司が分かってくれない、給与が低い等、モチベーションが低い人間ほど実力もないのに言い訳が達者である。モチベーション低下の本質は、本人のアマ(甘)さが最大の原因。一流にはまだまだ程遠いアマ(甘)チュア精神なのだ。

■幹部は、部下より10倍高いモチベーションを持て!

 目標達成をしている組織は、毎日が緊張の連続だ。緊張感を創る、一見綱渡りと見えるものを紙一重で成功へと導く、これこそ幹部の高いモチベーションがあってこそ実現できる組織風土なのである。
 逆に目標が達成できない組織は、毎日が安住と安定の連続だ。この様な組織の幹(甘)部は極めてモチベーションが低く甘い。幹部が部下と同等のモチベーションでは組織は崩壊する。部下より10倍高いモチベーションを幹部が持てば組織は必ず活性化し大躍進する。

■部下のモチベーションが上がる具体的な指導方法

 精神的にも弱く、ブレが生じる部下のモチベーションを上げるには、幹部の指導がその特効薬だ。格差時代に突入しているが、経営(業績)格差の根本が「モチベーション格差」にあるといっても過言ではない。社員ひとり一人が高いモチベーションを持続することで行動が変わり、高収益体質の基礎を創るのだ。
 今すぐ使える部下のモチベーションが上がる具体的指導のポイントは次の7点。

一.部下を常に気にする幹部であれ

 部下を気にするということは、育って欲しいと思う深い愛情である。部下が目標達成しても喜ばない、そして喜べない幹部の下で部下のモチベーションが上がるわけがない。部下を本気で気にする。部下は必ず成長すると願う幹部の指導は、部下自身が愛情を感じることができるだけに素直に受け入れる。だから結果が残る。結果が出ると部下のモチベーションはさらに高まり成功が循環する。

二.元気で明るい前向きの社風を創る

 社風は人の意識を前向きに変える。モチベーションの高い組織は、社員がイキイキ・ハツラツとしていて仕事を楽しんでいる。ディズニーランドや繁盛している居酒屋等がそうだ。そういうDNA(遺伝子)を築いている所の共通点は幹部が率先垂範だ。元気がなく、暗くてマイナス思考の組織では、モチベーションは絶対に上がらない。

三.ほめ上手は叱り上手

 結果が出る前兆をほめるとモチベーションは上がる。それ「で」いいではなく、それ「が」いいとほめる。積極的なほめ言葉は部下の心を前向きにする。ほめられた部下も更に努力するため、早く目標が達成でき実績を大幅にクリアするものだ。
一方で、ほめるピントやタイミングが的確な幹部が叱ると、部下は実に怖いと感じる。ほめ上手は叱り上手なのだ。中には何でもやたらほめる幹部が存在するが部下から見ると感動がなく、ただのお調子者幹部にしか映らない。部下の行動を良く観察し、良い点を見つけてほめることは幹部の観察力や洞察力も磨く。

四.チームの鑑となる中心人物を育てる
 

中心なき組織は機能しない。チームの鑑となるナンバーツーが必要だ。プロ野球では、エースや4番が模範的な取り組みをしてくれるとチームに緊張感が生まれる。V9時代の巨人が理想。王、長島がチームの鑑だ。王、長島が率先してやるから、ペーペーの選手はぼやぼやしていられない。絶対に特別扱いしてはいけない。全員平等に扱い汗をかかせる。中心選手だからこそ本気で叱るのだ。

五.ありがとうを口癖にする

 部下への「ありがとう」の一言は想像している以上に心に響く。出社してくれて「ありがとう」、指示事項の対応に対し「ありがとう」、目標達成に対し「ありがとう」等だ。部下は、「ありがとう」を聞きたい一心で仕事に全身全霊で取り組む。これも部下のモチベーションを上げる秘訣なのである。
六.損得より人徳の重要性を指導する

 人は誰もが豊かになりたいと思って仕事に取り組んでいる。但し、その考え方と動機が何に基盤を置いているかが大切だ。高額な給料や長期休暇を得とし、それが働く上での最優先事項とするならば、高いレベルでのモチベーションは長くは続かない。それより徳を優先すべきである。徳とは【人間力×専門性】を言う。徳が磨かれれば、自然に得はついてくるものだ。
お金によるモチベーションアップは短期間、仕事を通じての自己成長によるモチベーションアップは永遠に続く。

七.積極的な担当変更・人事異動を行え

 マンネリはモチベーションアップの最大の敵。何年も同じ得意先を担当したり同じ部門に所属すると、どんなに優秀な人間でもマンネリに陥り生産性が落ちる。
 部下のモチベーションを上げるには、思い切って担当変更を行う、人事異動を行うことが大切。その方が色々な経験を積み、仕事の幅も広がる。新しいことへのチャレンジ精神がそのままモチベーションアップにつながる。

■モチベーション・コントロールが出来てこそプロ

 プロ野球で監督を続けた野村克也は一切編成に口を出さなかった。球団から与えられた戦力でやりくりするのが監督の仕事だと語っている。選手が知らないようなことをミーティングの材料にすると「監督よく勉強しているなと」これも選手の信頼を勝ち取るための手段。リーダー自身がモチベーションを高くしてレベルを上げないといけない。
 本来モチベーションとは、自分自身で創っていくもの。例えば、貯金を幾らする、家族の為に頑張る等その動機は何でもいい。自らの強い意志と妥協の無い目標を設定することがモチベーションアップの条件となる。特に強い組織創りには幹部のモチベーション・コントロールが重要だ。
 幹部が自分のモチベーションを上げられずして部下のモチベーションを上げられるわけがない。部下のモチベーションが低いと嘆く前に幹部自らのモチベーションの高さを厳しく問うことが重要だ。