第29号 2018年に打つべき手 未来の変化に「適応」できる組織づくりに動け!

謹賀新年

 あけましておめでとうございます。平素より格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げますとともに、皆さまに深く感謝申し上げます。本年は関わる方々の「やる気」を引き出し、「成果に直結する」コンサルティングサービスがご提供できるよう、取り組んでまいります。変わらぬお引き立てとご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
※本ニュースを年始のご挨拶とさせていただきます。

■2018年の市場を予測する

 2018年度も実感なき景気回復は続く。オリンピックを控えたインフラ建設など需要の盛り上がり、首都圏での再開発案件の増加など景気の押し上げ要因となる。
 また、北朝鮮の緊迫化、欧米の政治的な混乱、中国の景気失速のマイナス要因はあるが、海外経済の回復の継続を受け、輸出の増加が続く。設備投資は企業業績の拡大を背景に人手不足への対応の投資や、デジタル新技術活用など、研究開発投資の増加が続く。個人消費も底堅さは維持できる見込みである。

大きな下振れはないが、市場の縮小が明確になる2020年以降を見据え、これまで以上に高付加価値を稼ぎ出すしくみづくりに動き出す年である。

■「慣れ」を排除し、変化に「適応」する組織を作れ

みなさんはカワセミをご存知だろうか?「清流の宝石」と呼ばれ、水質悪化などで一時は都市部から姿を消しかけた。だが、最近は環境に適応し、人家の周辺に戻りつつある。

 巣を作る土手や崖がコンクリートで固められ、数を減らす原因になった。今は堤防の水抜き穴にも営巣している。餌の小魚を狙い、果敢に水へ飛び込んでいく。カワセミのように環境に合わせて習性をかえる「適応」と、同じ状況を長く経験して何とも感じなくなる「慣れ」は対照的である。神戸製鋼所の品質データ改ざん、日産自動車やスバルの無資格検査は「慣れ」の典型的な事例と言える。「慣れ」を排除し、変化に「適応」する組織を創り出せ。経営幹部、リーダーは次の7点を意識して組織を点検しよう。

1.理念に適応する組織を創る

 経営理念を理解し全社員が共有して行動できているだろうか?例えば、「顧客第一」という言葉は、顧客の言いなりで値引きすることではない。顧客の繁栄を第一に考え、必要であれば高い商品でも提案し採用してもらうことである。経営理念は会社の憲法であり、迷ったときの判断基準である。「経営理念を新人に伝える」場面を想定し、社員一人一人が自分の言葉で語れるよう教育する。

2.経営計画書はリーダーが作り変化への適応を示す

 経営計画書はリーダーが書き上げているか?自らの手で意図を明らかにすることが、リーダーシップの第一の要件。リーダーの決意、目標、方針、実行内容など明確に示し、リーダー自らの責任と意思において、自らの言葉で書き上げる。会社の未来像を決めることは、社員の未来の生活を決めることでもある。このリーダーの覚悟と決意に社員が心を動かされ、個人ごとの方針を作ることができるのだ。

3.問題解決は社員と行い現場の変化に適応する

 経営計画の実施は社員を信じて任せる。特に、やり方を色々指示するのは厳禁である。やり方は任せ、目標達成をあくまでも要求する。リーダーは定期的にチェックし、問題解決を社員と一緒に行う。
 マラソンレースで優勝するためには、「なぜ遅れたか?」を考えても意味はない。「遅れをどう取り戻すか?」だけを考え、問題解決をスピーディに行い優勝争いに復帰する。

4.リーダーの考えに適応し、自ら動ける社員を育てる

 『自主性』と『主体性』の違いを知っているだろうか?『自主性』とは、単純にやるべきことは明確で、その行動を率先して人に言われないで自らやること。新人を育てるには、まず、『自主性』を身につけさせる。一方、『主体性』とは、何をやるかは決まっていない状況で自分で考えて、判断し行動すること。この違いを知って社員育成を行ってほしい。
 『自主性』を引き出すためには、「どれから行う?」と問いかけ、『主体性』を引き出すためには「何を、どのように行う?」と問いかける。

5.仕事を再配分して働き方改革に適応する

 あなたの会社の社員はなぜ忙しいのだろうか?ある企業で営業マンの仕事を見える化するために活動分析を行った。見積作成・商品発注・検品・納品など、営業マンが行わなくてもよい仕事が1日の活動の60%を占め、商談時間が10%に届かなかった。改善策として、営業マンは10時に外出、顧客からの問い合わせはすべて事務所へ転送、見積は事務社員が作成、仕事の再配分を行った。1件あたり、売上高10%アップ、見積単価が統一され粗利アップ、営業マンの残業時間が削減した。
 営業マン、事務員の能力が劇的に飛躍した訳ではなく、仕事の再配分を行っただけである。働き方改革のネタは現場に転がっている。

6.社員の仕事ぶりに適応できる公正な評価の仕組みを創る

あなたの会社の評価は現状に合っているだろうか?仕事の役割や職務内容の変化に適応し、評価のしくみを変えているか?働き方が変われば評価の対象も変わる。これからは、時間をかけ成果を出す社員の評価は下げざるを得ない。一方、短い時間で成果を出し、定時で帰る社員の評価は高まる。もちろん、他の人の仕事も手伝える人はさらに評価が高まるのである。
評価の曖昧な会社は、良い人財が入らず、優秀な人財は辞めてしまう。

7.採用活動はやり直しが効かない真剣勝負として適応する

 採用活動に変化が起きている。選考の期間が超短縮化しいているのだ。面接の場で、企業も応募者も採否を決めなければならない。1日や2日、選考期間が空くと他社に採用されてしまうケースがほとんど。短時間で応募者を見極める面接は、営業の新規開拓と同じ真剣勝負。就活サイトの未活用は論外。

■ 変化に適応できる人財を育て、2020年以降を勝ち残る!

 日本の近代化は大きな2つの変化に適応してきた歴史がある。一つ目は明治維新、二つ目は敗戦。いずれも適応してきたのは紛れもなく若い世代だ。
2018年は若手社員を伸ばし、未来の変化に適応できる組織づくりに動ける最後のチャンスかもしれない。今、育てる人が2020年に自社をけん引する中核人財となるのだ。

ワンポイントクエスチョン【未来の変化に適応できる組織ですか?

代表取締役 日小田正人

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【29号】2018年1月1日

日小田正人の著書「人の心を動かす使える質問」はこちらから