第32号 2022年に打つべき手 リーダーが本来業務を行える時間を創り出せ

謹賀「信念」

 あけましておめでとうございます。平素より格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げますとともに、皆さまに深く感謝申し上げます。

  本年は「愛」を信念の言葉とし、愛情あふれるコンサルティングでお客様の業績拡大に貢献してまいります。また、ご提供するコンサルティングの品質をさらに高めるため、チーム日小田で一丸となって支援体制の強化を行ってまいります。変わらぬお引き立てとご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。 ※本ニュースを年始のご挨拶とさせていただきます。

■2022年のキーワード:ニューノーマル消費と挽回生産
 国内景気は新規感染者数の減少で対面型サービスの持ち直しが期待されるほか、自動車などの挽回生産や設備投資意欲の高まりなども加わり、生産・消費両面で回復傾向が続くとみられる。また、5G 関連の環境整備や飲食料品など旺盛な自宅内消費の継続、半導体需要の増加、SDGsへの対応による原材料の調達もプラス材料。さらに政府の経済対策も押し上げ要因となるであろう。
  他方で、変異株であるオミクロン株の感染動向や水際対策の強化に加えて、資源高を背景とした価格の上昇や為替変動リスクはマイナス要因となる。供給制約にともなう企業の収益力の二極化の動き、人手不足感の高まりなども注視する必要がある。
 今後は、ニューノーマル消費や挽回生産などが見込まれるなか、回復傾向が続くとみられる。

■弱体化した営業力の再生
 緊急事態宣言の長期化で営業現場の弱体化が起きている。感染対策のため「接点を持たない営業」が長く続き、営業は顧客からの問い合わせ対応が仕事と思うようになり、足腰が弱くなり業績が低迷している。

1.大手はデジタル化で営業力強化を急速に進めている  
 大手企業では緊急事態宣言の長期化の中、積極的なデジタル投資を進め順調に業績を伸ばしている。WEB発注アプリの提供、見積WEBシステムの提供、テンプレート発注システムの提供など。顧客の見積提出業務、発注業務、納期確認、購買業務、原価管理など、顧客の業務改善に活用されている。かつ、自社の営業力強化にもつながっているから驚きだ。  
 今後は重点商材や大量発注を目指し強化し続けている。

2.中小企業がとるべき対策は直接訪問による提案強化  
 中小企業の対策は訪問強化、特に提案活動の強化である。だがコロナ禍が長期化し、営業は問い合わせ対応が仕事という間違った常識が営業現場に蔓延してしまった。その証拠に、複数の流通店で営業マンの活動分析を行ったところコロナ前と比べて、商談時間と移動時間が減り、デスクワーク(見積作成、発注、納期確認)の時間が圧倒的に増えていた。

3.「とにかく訪問しろ」はNG、訪問先設定3つのヒント  
 ここで、「とにかく訪問しろ!」という時代遅れの指示の出し方はNG。「訪問すべき会社を訪問しろ!」と指示を出すのだ。  訪問すべき会社の絞り込み方と進め方は以下の通り。

第一:既存顧客で売り上げを伸ばせる顧客(上司同行がカギ)
①取引商品の取引分析を行う(取引商品のスキマ探し)
②定番商品の単価を上げる提案(単価アップ)
③スポット商品を定番になるよう提案する(競合排除)
④未取引のスキマ商品を提案する(未扱い商材の拡販)  

第二:業績を伸ばしている休眠顧客(メーカーと連携がカギ)
① 休眠顧客をリストにする(データベース)
②休眠顧客を伸びている順にランクづけする(重点)
③顧客別に提案商材を決める(メーカーと協力)
④ランク順にメーカーと同行して提案を行う(印象づけ)

第三:業績を伸ばしている新規顧客(チームで攻略がカギ)
① 業績が伸びている新規顧客をリストにする(データベース)
②新規顧客を伸びている順にランクづけする(重点)
③顧客別に提案商材を決める(メーカーと協力)
④ランク順にベテランと新人でペア同行(チームで共育)

■リーダーがリーダーの仕事を行い営業力強化を実現
 リーダーの仕事はマネジメントとリーダーシップの2つ。自らが稼ぐことではない。リソース(=資源)を有効活用し、成果を生み出す「しくみ」をつくることと「組織」をつくること。リーダーがリーダーの仕事を行えば営業力強化は必ず実現できる。

1)マネジメントとは仕事の進捗管理と業務改善
 進捗管理(=PDCAマネジメント)とは、仕事の質を高め成果を出す手法。成果が出ないのは、社員の能力不足ではない。リーダーがPDCAサイクルを回していないからだ。月次、週次、日次の振返りが行える「しくみ」をつくりだすことで、仕事の質は大きく変わる。
 業務改善とは、仕事を効率的かつ効果的なやり方に変えていくこと。目の前の問題「売り上げ不足」に対応するだけではない。「残業時間削減」「コスト削減」「人員不足」への対応など、時間がかかるが未来のために行う問題解決も含まれる。営業現場では目の前の問題の対応に終始し、未来のための問題解決は未着手がほとんど。これが営業マンのモチベーションダウンに直結している。

2)リーダーシップとはチーム内の関係構築と人財育成
 チーム内の関係構築は、「関係性を強化する」「ベクトルを合わせる」「方針を明示する」この3つを行うこと。よって、「部下に関心がないリーダー」「チームがバラバラでも気にしないリーダー」「チームの方向を示さないリーダー」のもとでは関係構築は難しい。
 人財育成とは、単に仕事のスキルを上げることではない。会社に入社して5年後、10年後にどのような仕事人生を送れるかを示すことから始まる。仕事を通じて、その人の生き方、考え方を高めることである。

■リーダーがリーダーの仕事を行うヒント「時間確保」
 中小企業ではリーダーが忙しいのは当たり前。忙しいリーダーの仕事を見直しして、リーダーがマネジメントする時間の確保を行おう。リーダーがマネジメントする時間確保のヒントは次の7つ。
① リーダー自身の仕事の価値感の転換(昔は・・・はNG)
② 経営陣の理解とサポート(仕事の移管とデジタル化)
③ プレーヤーの仕事を手放す(サブリーダーの育成)
④ 報告が上がるしくみをつくる(日報、会議の活性化)
⑤ メンバーのスキルアップを行う(できるポイントを探す)
⑥ デジタルツールの活用(スマホの時短機能をフル活用)
⑦仕事のラップ管理(仕事の完了時間の設定)

■営業力№1で勝ち残る秘訣「時間確保」
回復が予測される2022年は、働き方改革と営業力強化を同時に推進しなければならない。弱体化した営業力の再生は、リーダーがリーダーの仕事をする時間を確保できるかが成否の分かれ目だ!     

                    代表取締役 日小田正人