第23号 「働かせ方改革」の実現は時間管理が決め手!
■「働き方改革」は「働かせ方改革」
「働き方改革」が一大スローガンとなっている。第三次安倍改造内閣には「働き方改革担当相」が配置され、内閣官房に「働き方改革実現推進室」が設置された。「働き方」は、人はなぜ働くのか,働く目的は何か,ということと深く関わっている。
「働き方」は働く側(大半は雇用労働者)の問題のはずだが、働かせる側(企業)目線の「働き方改革」はこうである。経済のグローバル化や国内市場の縮小によって厳しい競争にさらされている企業が、今後も生き残るためには従来の長期雇用モデルとは異なる、新たな雇用管理の仕組みを講じる必要がある。ワーク・ライフ・バランス実現のための制度や措置(短時間勤務・在宅勤務制度や長時間労働の是正)は、企業にとってコストではなく、組織の生産性向上、持続可能性に寄与する先行投資なのである。「働き方改革」は、企業側に生産性、収益性の向上をもたらす「働かせ方改革」だ。
■「働かせ方改革」の実現は時間管理が決め手
経営者を悩ませる社員の長時間残業。社員が疲弊するのみならず、経営コストを圧迫する原因だ。にも関わらず、社員の仕事の時間管理を行っている会社は案外少ない。ズバリ言う、働き方改革の実現は時間管理が決め手だ!
マネジメントの父、ドラッカーは「時間の活用と浪費の違いは成果と業績に直接現れる」と著書「経営者の条件」で述べている。具体的には、「1時間でこの見積書をつくる」でなく「50分で見積書をつくるためにどのように行うか?」が問われる。ただし、社員に時間管理のノウハウを教え、取組みを個人に任せても上手くいかない。経営トップやリーダーが時間管理を行い、甘えを排除する意識改革が必要だ。残業時間を減らす時間管理のポイントは次の6点。
1.記録は現実をあぶり出す
「あー忙しい!」と呟き成果が上がらない社員が実に多い。仕事の量が多いのか?処理能力が低いのか?段取りが悪いのか?原因を掴まず「意識が低いからだ」と決めつけてはいけない。何にどれくらいの時間を使っているかを記録する。「思い込みの現実」でなく「正しい現実」を掴み問題解決を行うことがカギ。
ある事務員は電話に時間が取られていることがわかった。リーダーがトレーニングを行い電話応対時間を10%削減、空いた時間で事務処理件数を増やした。正しい現実をつかんで改善指導を行えば成果は確実に高まる。
二流は「予定を記録」し、一流は「時間を記録する」のだ。
2.退社時間を宣言させる
試験勉強の一夜漬けの様に、明確に締め切りを意識させることで仕事のスピードは格段に向上する。「時間の宣言と実績管理」が有効なやり方だ。朝礼やミーティングで社員に今日の退社時間を宣言させ、その日の最後に退社時間を報告する。これを1週間続ける。達成できた原因、達成できなかった場合はその原因と改善策を立て翌週に行わせるとすぐに成果が表れる。
そもそも残業とは、「自分が予定した仕事が終わらないので、就業時間を延長させてください」と社員が申告することからか始まる。
二流は「終了予想時間」を申請し、一流は「確定退社時間」を申請するのだ。
3.やらないことを決める
優先順位を決めるとは集中することとしないことを決めること。「意味のある仕事は何か?」「最も重要なことは何か?」という観点から時間と仕事を見つめることである。人が一日に使える時間はたかだか14~16時間程度。しかもその全部を自由に使えるとは限らない。何かを捨てなければ時間を確保できない。
二流は「やらなければいけないことを決める」一流は「やらないことを決める」のだ。
4.優先順位を決める
「緊急で重要なこと」と「緊急ではないが重要なこと」どちらに多くの時間を費やしているか。成果を出す人は「緊急ではないが重要なこと」に優先順位を与えている。「重要なこと」とは、「TODOリスト」のように1日に行う仕事を書き出すことでなく、長期的に取り組み続け成果を生み出すことを指す。
営業で言えば新規顧客開拓のこと。既存顧客の要求に対応することはすぐに売り上げに影響する「緊急で重要なこと」だからどの営業マンも対応に奔走する。今すぐ売上に貢献しないが、将来貢献してくれる顧客を開拓・育成することは誰でも重要と認識しているが、すぐに売上貢献しないので緊急でないと判断してしまう。
二流は「既存顧客の対応を優先する」、一流は「新規顧客開拓を行うことから優先する」のだ。
5.頼まれごとは納期交渉から
お客様の満足度を高めようと何でもかんでも安請け合いすることは、自分で首を絞めるだけ。しかも、対応しきれない時は顧客の不満足を高める要因となる。
頼まれごとを受けたら、納期は可能な限り先に延ばす交渉を行うのだ。そして、その納期前に納品を確実に実行すれば顧客満足はより高まる。
二流は「喜んで!と、できない安請け合いをする」、一流は「納期の交渉から入る」のだ。
6.時間管理は30分単位で行う
予定を組む際は30分単位で予定を組んでいく。単純に枠を組みスケジュール化することが目的ではない。その仕事を30分で行うためにどんな段取りや準備が必要かを意識し、習慣化することである。
やり方は、①作業時間を決める。〇〇の打合せ30分②タイマーで時間管理を行う。タイマーは10分、20分、25分、28分、30分に鳴らす。打ち合わせ開始前に、アラームが鳴る時間ごとにゴールを設定する。予定どおり進んでいるか?遅れているか?仕事のラップ管理が可能となる。
二流は、「完了していないからメールで詳細を送ります」と言い、一流は「次の打合せは20分で終了するように行いましょう」と言うのだ。
■二流は時間に追われ、一流は時間を創り出す!
「時間はいつも足りない」と言う割に、時間を確保するために自衛手段を取っている人は案外少ない。
また、「時間をどのように使うか?」から考えてはいけない。「どれだけ時間を確保できるか?」から考えなければいけない。スケジュール管理と時間管理とを混同してはいけない。今、問われているのは、手帳の空欄を埋める力でなく、空欄を生み出す能力が必要なのである。リーダーの管理なくして時間管理は実現できない。
ワンポイントクエスチョン【あなたにとって緊急ではない重要な仕事とは何ですか?】
代表取締役 日小田正人
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