第15号 チャレンジ目標を活用して社員のやる気を高めよ!

■消費税の再増税がなくとも自力で勝負できるか?

さあ、新年度がスタートした。みなさまの会社ではどんな目標を設定されただろうか?
伊勢志摩サミット(5月26~27日)の主要議題となる世界経済情勢について有識者の意見を聞くために開かれた「国際金融経済分析会合」で、2人のノーベル賞経済学者が「増税先送り」を進言した。これで、来年4月に予定されている消費税10%への増税が延期される可能性が高まってきた。4月に新年度を迎える企業は経営目標の設定が難しい判断となったはずだ。

駆け込み需要がなくとも、目標達成できる戦略で市場を切り拓く地力がまさに必要となってきた。

■冷静に市況を見極める力が大切

厳しい市況でも手堅く業績を上げている企業は目標の設定が実にうまい。「目標」を上手に活用して社員のやる気を引き出すマネジメントを実践している。世に言う、目標管理制度である。

ここで言う目標管理制度とは、上司が部下の目標を管理する制度ではない。部下がギリギリ背伸びしたチャレンジングな目標を設定し、そのPLAN(計画)→DO(実行)→CHECK(振り返り)→ACTION(改善活動)を意欲的に自律的に行い、そのプロセスで仕事の面白さ、働き甲斐を実感してその成果を評価することだ。

■やさしい目標が会社を潰す

部下は評価の怖さを嫌と言うほど知っている。低い評価を受ければ、不利な処遇で賃金ダウンはあたり前。最悪は降格人事も覚悟する。そこで、できる限り達成しやすいやさしい目標で達成度を稼ごうとする。やさしさを見破られないよう、目標を難しく見せる技術を磨く。営業は隠し玉を用意する。間接部門は目標の難易度を主張し合う。

その結果、全員が目標達成したが売上低迷、赤字幅が拡大、間接人員の残業が増え人件費が増加。実際に起こった話である。

■チャレンジ目標設定のポイント

社員一人一人が納得のいくチャレンジ目標はどのように設定していけば良いだろうか?そのポイントは次の6点。

1.目標は連鎖していることを伝える

社員が納得のいくチャレンジ目標を設定する出発点は

「目標は連鎖している」と言う理解である。個人目標であっても、個人が好き勝手に決めるものではない。経営理念→全社の中期目標→全社の今期目標→部門の今期目標→チームの今期目標→個人のチャレンジ目標と、一貫性がなければいけない。

経営理念に「顧客満足」といった言葉があれば「顧客が感動する満足度50%アップ」一貫性のあるチャレンジ目標の設定が集中とスピードアップを実現する。

2.経営理念、部門の目標や戦略を伝える

リーダーは経営理念、全社の中期経営計画や部門の今期目標を自分の言葉で語ること。経営理念を毎日朝礼で唱和している会社でも、社員に聞いてみると内容が答えられないといったお粗末なことが起きている。
経営理念が定められた時の社会的な背景、創業者の想い、現経営陣の想いをリーダ自身の解釈も含め語る。その言葉に納得できるか?部下はシビアにリーダーを観ている。リーダーとの想いと願いが部下のやる気を引き出すのだ。

3.チームのなすべきこと(ミッション)を決める

全社の計画が理解できたら、チームのミッション を明確にする。向こう3~5年を見渡して、この職場が貢献すべき対象は「何」なのか「誰」なのか「どこ」なのか「提供すべきチームの仕事」を定義づけす る。リーダーも含めたチーム全員で膝を突合せ、真剣な議論を展開すれば、チームの基本的な役割が共有される。他の部署との関係、間接部門であっても顧客に どのように貢献に関わるのかが明らかになり、役割の実践意欲が刺激される。

4.最高目標・中間目標・最低目標の3つの目標を設定する

全社の計画を実現するため、チームとし てなすべき戦略目標と数値目標を伝える。戦略目標はミッションと連動すべきものである。数値目標は前年度実績に対して何%アップと設定する方法で行う。最 高目標・中間目標・最低目標3段階の目標設定が個人ごとのばらつきを防ぐ。最高目標・最低目標中間目標の順番で目標を立てることで自分が目指す方向がより 具体的になる。

それぞれの目標に対して、具体的な行動目標、予測される問題点と解決策の検討を行う。これが戦略を実現する具体的な実行シナリオとなる。やる気の無さで片づけることができなくなり、気づきのレベルが高まり仕事の質が向上する。

5.革新目標・改善目標が漏れていないか検証する

チャレンジ目標には必ず「何かを創造していく」あるいは「何かを変えていく」という側面が不可欠だ。この視点から目標を捉え「革新目標」「改善目標」が漏れていないかを検証する。

革新目標とは創る問題であり、仕事そのものを根本的に変える目標である。例えば、新システムの導入や新技術のサービス提供などであり、漏れていると付加価値が低下し価格競争に巻き込まれる。

改善目標とは探す問題であり、業務遂行上の問題を改善し業績向上に貢献するような目標であり、漏れていると残業時間が増えるなど生産性の低下につながる。

6.目標は見える化、進捗も見える化して競争と協力を促す

設 定した目標は壁や掲示板を活用して貼り出す。自分以外の社員がどのような目標を設定しどんな仕事に取り組んでいるのか?進捗度は?協力できることはない か?見える化されていれば興味も湧く。ミーティング・会議・朝礼で取り上げることで、日常から目標到達に向けた会話の量が増える。今の若手は気づく力が低 いと嘆くより、興味を持たせる環境を作りだすことはリーダーの大切な目標でもある

■リーダーは365日、部下の目標達成をサポートせよ

リー ダーの仕事は部下を通じて目標達成することである。リーダーは部下が目標達成するために次の3つの方法でサポートしてほしい。①部下の問題を見つけたら先 送りせず瞬時に解決すること。②部下の会社への考え方や仕事への取り組み姿勢を観察してぶれた場合は、とことん話し合い是正すること。③目標を見える化 し、部下同士が競争し、協力し合う関係づくりをすること。

部下のチャレンジ目標の達成は、リーダーの大切な目標であることは言うまでもない!

ワンポイントクエスチョン【部下の目標はチャレンジングな内容ですか?】

代表取締役 日小田正人

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【15号】2016年4月1日

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